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大生神社巫女舞 2009年11月15日

今日は、以前にも訪ねたことのある大生神社で巫女舞の神事がある。巫女舞は午後2時頃から始まるらしいので、早昼を済ませて出掛けた。

マップ水郷潮来観光ガイド

北浦湖畔の大賀から丘陵への登りになる。長い登りが一段落し、その先の小さな起伏をやり過ごしてから、地図の確認のため振り返えるとこのお寺が目に入った。

文殊院(大賀)

天台宗 神宮寺 大生山文殊院 

説明を読むまでもなくお堂の配置が変わっている。ここに書いてある以上に詳しいことは分からないが、「神宮寺」というのは神社に付属する寺(神社を守るという位置づけ)の一般的な呼称だから、大生神社に付属する寺なのだろう。天台宗としては、牛堀町堀の内の二本松寺の末寺とある。二本松寺は佐原大祭のときに浜風で近くを通っている。そのときも気になったし、ここでまた出てきたとは、いずれいかずばなるまい。

地蔵堂 観音堂 阿弥陀堂
地蔵堂地蔵菩薩
観音堂毘沙門天 十一面観音菩薩 不動明王
阿弥陀堂阿弥陀菩薩

振り返らなければ気付かなかった。ラッキー! いい寺めっけ、である。

 
文殊院のカヤ

文殊院から大生神社までは300mほど。前回は森と畑だけで人影はなかったが、今日は車が何台も停まっていた。すでに神事が始まっている。

大きな幟が2本道筋には茣蓙が

行事に使う道筋にはゴザが敷き詰められ、献備品の奉進が進行していた。斎殿から献備品を3人の神職(ここでは多分、地元の若者)が引き継いで神前へ運ぶ。あとで斎殿にあった張り紙を見ると、『献備品』の一覧として、白米、酒、餅、魚(川魚)、野鳥、海藻(昆布類)、野菜(大根、人参、牛蒡)、果物(みかん、りんご、柿類)の9品が記されていた。川魚はコイ、野鳥はキジだったが、みかん、りんごはどうもしっくりこない。ま、いっか。これを一品ずつ三方に乗せて9回リレーするのだから結構時間がかかる。

斎殿から供物が運び出される斎殿前の参道で引き継がれる 右奥が司会者

昔は式次第は参加者の体に染みこんでいたのだろうが、近頃、そうはいかないようで、写真に見える背広姿の司会者が奉書に書かれた式次第を読み上げて儀式が進行する。

2人目の神職に引き継がれて……神前へ運ばれる
さらに神前に3人目の神職がいる献備品奉進の儀式が終わって

献備品奉進が終わると、神事に参加する人々は参道の左右に並ぶ。左は催事側、右は招待者

これから本番神主の祝詞中は低頭

祝詞の最中に、神社裏手から拝殿の方へ回ってみた。

当然、今日は本殿開扉カゴノキも健在

祝詞のあと、神主が奉幣。ここの弊束はでかい。神主も、振るうのに苦労して、天井から吊した灯籠に何度もぶつけていた。

すべては司会者が神主の奉幣

神主の奉幣が終わると、巫女舞の神事が始まる。それに先だって巫女と案内役を先頭に、参列者が拝殿へあがる。

奥が巫女参列者が順次拝殿へあがる

狭い拝殿は参列者で一杯。中央に巫女の舞うわずかなスペースがあるのみ。

狭い拝殿は満杯 柱右に白く見えているのが巫女階段を占拠するカメラマン?

巫女舞が始まると、一番いい場所をめぐってカメラを手にした男どもが拝殿周囲を右往左往する。部外者が入れる場所としては、拝殿正面の階段が最高のスポット。そこをカメラマンが我が物顔に占拠する。見かねた地元の婦人が追い払おうとしたが、無視されてしまった。なかには、拝殿の階段正面に脚立を立てて撮影を始るものまでいる。ぼく自身携帯を手にしていたのだが、ここにいたって撮影は止めた。

なんだか変である。このカメラマンもどきはいったい何か。様子を見る限り敬虔の念を持って撮影しているようには見えない。この神事を拝観したい、あるいは、拝殿の外からでも神事に参加したい人がひしめくのは分かる。そういう人たちこそ、一番いい場所を占めるのが当然だろう。そう思って、周囲を見ると、まじめに巫女舞を見ているのは、数人の女の子(巫女役の子供の友達?)くらいしかいない。神事の参列者は拝殿内にいるし、手伝いの婦人連や若い衆など氏子は、斎殿や周囲のテーブルにたむろして雑談しているだけ。これでは、カメラマンもどきが跋扈してもしかたないか。もう少し都会に近ければ、ガードマンに虎ロープは必至である。

こちらは子供たちと並んで巫女舞の次第を見守った。巫女は左手に鈴を右手に弊を持って、囃子に合わせてそれを上下する。まず神前に向かい、次に参列者に向かって舞う。この場合の舞うとは、鈴を振りなが舞台を巡ることだ。同じ単調な所作の舞いと囃子が繰り返される。資料では5または7段とあるが、5段以上であることは間違いない。ただし、囃子方は段ごとに強弱をつける。強弱といっても西洋音楽のクレッシェンドはなく、テラッセン・デュナーミクのようなもの。弱いときは同程度に弱く、強いときは同程度に強い。現在のこれに芸能としての面白みを見るのは無理だろう。

囃子方は、笛が5人、太鼓(たいこ)が3種類に、大鼓(おおつづみ)と小鼓(こつづみ)。太鼓は、能と同じ太鼓と、祭り太鼓、月鼓の3種類。ただし、大鼓は能のように手で打つのではなく、弾力性のある撥で叩いていた。あるいは大鼓、小鼓ではなく、大小の締太鼓とよばれるものかもしれない。そうなれば、太鼓が5種類ともいえる。

巫女舞の後は、玉串の奉納。神主から始まって、地方の政治家、自治体関係者と、このあたりは何の行事でも似たり寄ったり。

玉串奉納 この頃にはカメラマンも消えた早く終わらないかと見守る婦人連

さて、そろそろこちらも引き上げることにしよう。

御手洗
それでは失礼

大生神社の境内は鎮守の森に囲まれて暗かったが、表へでると晩秋の日射しがきついくらい。昨日の雨に空気が洗われ、木立も畑も、たまにある家々も輪郭がくっきりして心地よい。まっすく帰るのはもったいないので、あちこち寄り道しながら浜風を漕いだ。

本日は、これまで。

  
   
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