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ここでキンランとしたのはキエビネの間違いのようだ。この記事でいろいろ調べたことはとんだ茶番になってしまった。 →参照  2012/05/02

キンランキエビネ 2010年5月13日

補足 2010/05/17

Wikiのキンランによると、共生関係はもう少し複雑なようだ。体験的に栽培に成功しているひとの話とあわせると、適切なコンパニオンプラント(例えば、シュンラン)を探すのがもっとも自然なようである。取りあえずは糸状菌による炭素資材の補給も有効だろうが…………

昨日、霜の注意報が出たので、この辺りは大丈夫だとは思ったが、苗の畝に簡単な覆いを掛けた。まあ、山でいえば緊急ビバークのツェルトのようなものを被せた。その作業をしていて、以前から物置の前の通路の脇に生えているスイセンに目がとまった。考えるとスイセンはもうとっくに終わっているのに、この株だけいつまでも花が残っている。いままでまともに見たことがなかったが、はじめで顔を寄せて見てみた。といっても、あまり近寄ると老眼だから逆に見えなくなるので、物置に常備してある100円ショップの老眼鏡を掛けて見たのだ。

キンラン周囲はタイムの花

すると、なんと、スイセンではなくキンランだった。いままで作業の途中で、うっかり踏みつけたこともあったのだ。確認のためにWebを漁ってみた。キンラン自体、さほど珍しいものとは思っていなかったが、絶滅危惧U類にリストされている。かつては、雑木林の林床にごく普通に見られた種だったが、きれいな花を着けるので乱獲されたらしい。しかも、キンランは栽培が非常に困難なようだ。だから栽培株が流通せず、乱獲が助長された。さらに、雑木林の林床という環境自体がどんどん減っている。

このキンランが見つかった辺りは、去年ヒヨドリが営巣したイロハカエデの木陰で、その落葉が堆積して林床のような環境ができていたのかもしれない。こっちは、そんなこととはつゆ知らず、ショウガを植えたりタイムを移植したりと、環境をかき回してしまった。

もう花は枯れかけている

ここまで分かってくると、先住者の遺産とはいえ、いささか責任を感じてきた。なんとかこのキンランを保護できないか。そこで、さらにしつこく調べると、栽培の難しい理由が分かった。植物は根から栄養を吸収して光合成を行い成長するわけだが、根からの栄養吸収には菌根菌という菌類が深く関わっている。植物は土から直接すべての栄養分を吸収するのではなく菌根菌を経由しても吸収する。菌は植物の根の外側を覆ったり、あるいは、根のなかにまで侵入して、栄養を根に供給する。一方植物は、光合成で作った栄養を菌根菌に与えて菌を育てている(植物と菌根菌の共生)。どの植物でも菌根菌のお世話になっているが、その依存度がラン類は大きく、とくにキンランは単独では土から栄養を吸収することができない。だから、採ってきた株を鉢や庭に植えただけでは絶えてしまう。これが、栽培が難しい理由だ。

さらに、菌根菌について調べてみると、この菌は糸状菌の一種であるという。林床で落葉を持ち上げたときに蜘蛛の巣のように白い網目が形成されていることがある、あれが糸状菌だ。またキンランは独自の菌根菌があるわけでなく、どの植物とも共通しているともいう。となれば、これは炭素循環の世界である。わが畑には、籾殻、バーク堆肥、枯れ草の刻んだものなどが敷き詰めてあり、それをめくるとあちこちに白い糸状菌が発生している。というわけで、畑から糸状菌の着いた籾殻や堆肥をかき集め、キンランの根本を掘って根の周囲に置いて土を被せた。

籾殻に生えた糸状菌 → 菌根菌へ

にわか和蘭愛好家の気分だが、はたして無事に生育してくれるかどうか。

  
   
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