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エンドファイトと炭素循環農法 2010年11月1日

今晩のNHKのクローズアップ現代で、エンドファイトと農業の関係を取り上げていた。これに先行する同局のサイエンスZEROでもエンドファイトが取り上げられていた。エンドファイトというと、格闘技のかけ声のようだが、ラテン語でendo-phyte(内なる-植物)のことだそうで、既知の用語で言えば内生菌のことだ。典型はマメ科植物の根粒バクテリアがそれにあたる(2011/06/04 訂正 内生菌は真菌、根粒バクテリアは細菌。この時点では真菌と細菌の区別がついていなかった)。テレビ番組で次々にテーマになることからわかるように、最近、農業におけるこの種の菌の働きがにわかに注目を浴びるようになっている。この菌が植物と共生することで、その生成物が植物の栄養になったり、植物の病害虫に対する防護作用を強化するという。

サイエンスZEROより

で、なぜエンドファイトがこのブログのタイトルになるかというと、わが“ネコひた”の菜園で試みている「炭素循環農法」(略して、たんじゅん農法)が、エンドファイトの働きを利用した農法ではないかと思われるからだ。この農法のコアは、炭素資材(枯木、枯草など植物の遺骸)を耕地に投入し、その発酵に俟つことによって、発酵菌が炭素資材を分解する過程で生じる物質を養分として作物を生育するとい点にある。そうして育てる植物は、施肥が不要で、病虫害に強く(無農薬)、収量が多くて美味であるという。それが事実なら、生産者にとってはこれ以上ないすばらしい農法なのだ。ただし、そうしたストーリーは経験的にそう判断しているだけで、理論的には裏付けがない。すくなくとも今のところは。

ここからはperhapsの世界だが、たんじゅん農法で炭素循環の主役とみなしている発酵菌のあるグループがエンドファイトとして機能し、その生理作用によって、従来農法では不思議に思える、耐病性や耐害中性を作物に与えているのではないか。エンドファイトの注目は、偶然にも、たんじゅん農法に理論的な裏付けを与えるのではないかと期待しているのだ。

たんじゅん農法には、従来の肥料と薬剤を頼りの農法にはない大きなメリットがあると思う。しかし、自然の摂理を人間が自己の利益に利用しようとしたときに必然的に派生させる裏面もあるに違いない。たとえば、いま問題になっている多剤耐性菌にしても、あれはまさに人間の医療がこころならずも育てしまった細菌である。人が介入することによって、長い年月を掛けて維持されてきた、あるいは、平衡状態に達していた、自然に干渉することは間違いない。たんじゅん農法もその例外ではないだろう。肥料・農薬漬けの農業よりましに違いはないが、微生物界に人間が傾斜を与えることで、また何かおもがけない副次効果を生む可能性がある(ないはずがない)。その視点を見逃すことなく、このたんじゅん農法の行方を、自分でも実践しつつ見守っていきたい、というのがいまの心境だ。

まあ、自分でもたんじゅん農法を会得したともいえないのに、よく言うよ!なのだがね。ううむ、ここのところなんだか、われながら饒舌?、冗筆?である。反動の落ち込みが怖いが。ははは。

  
   
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