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浜風3世 2012年7月30日

現在の浜風はミヤタサイクルのMTB(1992年製造)の駆動系を換装した、いわば2世。この分解と組み替えには、実際の交換作業だけでも1週間以上を要している。自転車の構造についての知識がなかったためだが、古い製品なだけにフレームと部品の互換性を調べるのにえらく手間どった憶えがある。現在、ミヤタはMTBの販売を再開しているようだが、その時点では取扱がなく、質問しようにも相手がわからなかった。

浜風2世の駆動系

オリジナルの浜風にはシマノのDeoreというクラスの前段3速×後段7速のパーツが装着されていた。こちらへ引っ越して「浜風」と名付けてMTBに再度乗り出したときは、シフトがひどく不調だった。原因は前後のギア、チェーン、変速機構などの総合的な摩耗や劣化だったのだろうが、わけもわからずにまずチェーンを交換して逆に情況を悪化させ、つぎにシフトレバーを交換してますます泥沼に踏み込んだ。

交換したシフトレバーはAltusというクラスのデュアルコントロールレバーだった。デュアルとは、シフトとブレーキのレバーが一体化されたことを示す。現行のDeoreには3x7の製品がなかったのだ。あとで分かったのだが、シマノにはAlivio←Acera←Altus(品質順)という製品群があって、Deoreが「MTB」クラスとすれば、これらは「MTBもどき」というべきレベルの製品グループであった。最初はそんなことは知らないから、3x7に対応するものがあったと喜んで交換した。しかし、実際に取り付けてみると、外見はともかく内部機構はいかにも安物といった印象はいなめなかった。シフト不調の原因はチェーンとシフトレバーだけではないから、交換しても期待したほどの効果はなかった。

SIS

じつはオリジナルDeoreとAltusのシフト機構には大きな違いがあった。オリジナルDeore当時のシフト機構はシフトレバーの位置とチェーンの掛かるギアは、「おおむね対応する」程度の精度だったが、現在標準のSIS(Shimano Indexing System)というシフト機構は、正しく調整すれば、レバ位置の番号(インデックス)とチェーンの掛かるギアは正確に対応する。

オリジナルDeoreの非SIS時代のギヤやチェーンでもSIS対応のレバーで操作できることはシマノに問合せて確認はしてあったが、結果が芳しくなかったので、前後のギヤやシフト機構も最近のものに交換することにした。すでに、シフトレバーを新しくしてあったから、これに合わせて、チェーンホイール、ボトム・ブラケット、Rメカ(リアディレイラー、後段変速機)、Fメカ(フロントディレイラー、前段変速機)、ブレーキなどを選んで交換した。交換したばかりのAltusクラスのコントロールレバーに合わせたので、選択できる製品は互換性のあるAlivioクラス以下という結果になった。いってみれば選択基準が主客転倒だったわけで、浜風はDeoreクラスからAlivio〜Altusクラスへ格下げされてしまったわけだ。それが現在の浜風である。

2年半ほど第2世代の浜風とつきあってきたわけだが、最近ペダルを交換したことがきっかけで、また新しい浜風を組んでみたい気分になった。オリジナルのDeoreクラスに駆動系を戻してやりたくなったのである。

現行のDeore9速へ

非SISのDeoreはその後SIS対応になって発展し、さらに細分したサブカテゴリーを包含する大きな製品クラスになっている。現在では、後段7速はMTBとしては傍流で、Deoreクラスには3x9,3x10,3x11というオプションしかなかった。浜風の走行パターンからすると、本格MTBというより、3x9の「トレッキング/クロスバイクスタイル」(シマノの表現による)が適当だろう。Deoreクラスのごくエントリーレベルである。やっと、本格派の入口といった位置づけか。製品の価格的にも分相応である。

というわけで大きな目標が決まったので、工具などで必要なものがあれば、それもお願いすることにして錦ロイヤルのN氏にパーツ一式の調達を依頼した。錦ロイヤルはマビックのホイールを購入して以来、なにかと相談しているが、素人の質問に丁寧に対応してくれるので頼もしい。届いた部品が、つぎの写真だ。

Deore9速シリーズ トレッキング/クロスバイクスタイル 総額約3万円

オリジナル浜風の換装は製品が古いこともあって適応工具を探すことから苦労したが、現行モデルで組んだいまの浜風にその心配はない。

分解中の浜風2世工具類

オリジナルの分解に比べるとあっというまに駆動系パーツを取り外すことができた。

駆動系パーツを外した浜風(前輪は外す必要なし)

浜風2世の駆動系パーツはこれだけ。

取り外したAlivio〜Altus系浜風パーツ

新しい駆動系の組立はまったく問題なし、とはいかなかったが、メールでN氏の助言を得るなどして2日ほどで完了した。

 
浜風3世 あまり変わり映えはないが 
前段3速後段9速
FメカRメカ
チェーンホイールBBのシャフトは中空
チェーンホイール裏後輪Vブレーキ/前輪も同じ部品

マスターリンク

以前3x7のチェーンの着脱でクイックロックリンクというマスターリンクが非常に便利なことを知ったが、3x6〜8用で規格が違うので流用できない。そこで、ミッシングリンク(商品名)の3x9用のものを手に入れて装着してみた。

このミッシングリンクは外れないテスト用は簡単に外れる

Fメカの調整がすんなりいけば必要ないことだが、Fメカの取り付け位置やアングルが狂っていて、素人にはどうにもうまくいかないときがある。そんな場合、チェーンを外して調整をやり直せると非常にたすかる。詳細は省くが、今回もそんな情況に陥った。ところがここで大問題!!! 手で簡単に外せるはずのリンクがまったく外れない。2コがセットだったので、長さを調整して切断した余りのチェーンに予備のリンクをセットして着脱してみたが、なんなく外れる。結局、外れない原因はいまだにわからない(→解決 2012/08/02)。せっかくのマスターリンクが肝心なときに着脱できないなんて、なんてこった。やむなく、クランクホイールを外すという大技?を演じた結果、つまらない作業手順の間違いを見つけて難を逃れた。

走行性能

ブレーキとシフトの調整を済ませて、さっそく浜風3世のテスト走行。

まず走りの軽さを感じる。計ってはいないが部品全体の重量と回転系の滑らかさが原因か。次に驚いたのはブレーキの効きだ。軽く握るだけできゅっと効く。最初は、いままでどうりの力で握ったので、タイヤがスキッドしてしまうほどだった。そうとうな下りでも力一杯握る必要はない。それもガクンと効くのではなく短時間で滑らかに制動される。

シフトの具合を見るために鹿島丘陵を横断走行。まず海側の国道まで降りて坂を上りなおし、さらに湖側まで降りて一番急な坂道を上りなおした。いままでの浜風だと上れたかどうか自信がないほどの急坂だったが3×9の威力でなんなく上り切った(もちろんゼーゼーいいながらね)。シフトで印象的なことは後段ギア(スプロケット)の枚数が増えたために、シフトのショックが少なくなったことだ。ギヤ比の変化が少なくなって、切り替え時の踏み込み荷重の変化が小さくなったからだろう。いままでの感覚だとシフトしたのかどうかわからないくらいの変化しかない。とくに、前段のクランクギアの切り替えでそれが顕著だった。いままでは上りの途中でクランクギアの一番ロー側へ落とすと、たたらを踏むことがあったが、それがまったくない。

気になった点としては、シフトレバーの操作性。これは多分に個人的な問題だろうが、わたしは手が小さく指が短い。このDeoreはハンドルを握った状態の親指と人差し指でシフト操作をする。親指が短いので握ったままだと、シフトさせるためのストロークがやや足りない。グリップに沿って手を返すように回転させる必要がある。これはレバーの取付角度で改善できるかもしれない。(2012/08/01→実際、回転させてみたら快適になった)

まだ調整したいカ所がいろいろ残ってはいるが、確実にクラスの違いを納得できる結果であった。めでたし。

  
   
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