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浜風、筑波へ登る 2012年10月13日

追記 2012/10/16 県道42号のこと

昨日のテレビで天気図を見ていると、明日の秋晴れは保証されたような気圧配置である。突如、筑波山まで行ってみることにした。いままで、いささか浜風には遠すぎると思って、ターゲットからは外していたが、なぜかスイッチが入った。もちろん、あくまでも努力目標であって、なにがなんでもというつもりはなかった。

マップ

体力も時間も余裕がないので、往路は排気ガスの後塵を拝すもやむなしのルートとした。鹿行大橋を渡るとき、遥かに筑波山を遠望するが、写真では映らない。しかし、あそこまで走るとはちょっと現実感が湧かない。

行方丘陵を越えて玉造の町を抜け、霞ヶ浦にでると浜(地名)の高台から筑波山がよく見える。ここでもまだ、自分自身で半信半疑。 

浜より筑波遠望 あそこまで…………???

市街地を走るのであまり見るべき物がない。

三昧塚古墳ジュンサイの栽培池

石岡の町を抜け国道6号(旧水戸街道)を渡ると、だんだんイメージが現実的なものになってくる。

フラワーパーク手前数キロ地点

今回もGPSナビはセットしてきたが、途中で指示がまったく当てにならなくなったのであきらめた。ここまでくれば道路標識頼りでもなんとか行けそうである。

脱線だが、こうした携帯用機器はもう個別には成立しにくいように思う。この夏の山行で友だちの持参したiPhoneの威力を見てつくづく感じた。iPhoneに限らないが携帯利用者という膨大な数のサポーターをベースに、強力なプラットフォームを無償で提供されて、そこで世界中の開発者がしのぎをけずっている。一方、個別開発ではハードウェアの設計・実装はもとより、なんらかのOSも用意して、さらにアプリケーションを開発しなければならない。競争するほうが無謀というものだ。

話しを戻す。Googleマップのルート検索で調べた地図は持ってきたが、この辺りになると道路情報も完備しているので、標識を頼りに適当に浜風を漕いだ。Googleマップの検索は標高差のメトリックが入ってないから、フラットな道路距離の最短パスしか表示しない。地形的にいずれひと山越えなければならないとは思っていたが、漠然と筑波山神社くらいの高度をイメージしていた。しかし、いざ実際に山道にかかってみると、どこまでいっても登りが終わらない。うんざりするほど漕いで、やっと峠らしいところへ出た。これが神社の手前にある風返峠かとおもったが違った。道路標識には不動峠とあった。まあ、この辺りで気づくべきだったが、「なんだひとつ手前に峠があったのか」と思って、筑波スカイライン→筑波山の案内にしたがった。しかし、漕いでも漕いでも筑波山は近づかないどころか、だんだん遠くなる。さすがにこのころになると、これはルートを間違ったなと気づいた。

緑が予定コース 赤が実走コース

あとで調べてみると、予定したルートは県道42号を辿るはずだったが、実際に走ったのは県道236号(筑波スカイライン)だった。いずれ風返峠で合流するのだが、距離的にははるかに遠廻りだ。しかも、舗装道路とはいえ山岳道路だからアップ・ダウンが激しい。

※2012/10/16 正解のはずの県道42号について調べてみたら、こんな記事を見かけた。まったく無知だったが、間違ってスカイライン・コースを選んだのは幸運だったようだ。フラットな地図だけでも、最後に一気呵成に来そうな”形”してるね。

途中で降りる道はないし、引っ返せばまた同じアップ・ダウンを繰り返すと思えば、進むしかない。どうやらこのルートはサイクラーのかっこうの練習コースになっているらしく、自転車競技スタイルの若者が集団でどんどん飛ばしてくる。登りで抜いて行く若者のなかには、”こんちは”と明るく声を掛けてくるものもいるが、オジ(イ)サンは、挨拶の声も絶えだえに、ひたすら漕ぐっきゃないのである。

最初はまったく別のところへ持って行かれるかと思われたが、いったん遠ざかった筑波山もしだいに戻ってきて、なんとか風返峠へ着いた。山の縱走でしごかれた疲労とは違う、少し車酔いも混じったような不快なバテかただ。ここで初めて同年配の自転車乗りと出会った。挨拶しようと視線を合わせたが、無愛想ににらみつけるので気を殺がれた。ちゃんと調べておけば良かったのに、峠の標高は424m。石岡方面から筑波山神社(250m)へ向かうには、ここを乗っ越さねばならなかったのだ。山岳レースの練習なんかする気はもうとうないのに。

ここから神社までは降り一方なので楽ちんといきたいところだが、そうでもない。直線的な急下降で、ブレーキを握る手も固まり、肩はガチガチになる。峠で出会った同年配の老人もここを漕いできたのかと思うと、感心するというより呆れてしまう。

ちらほらと観光地らしい旅館や飲食店が出てくるようになって、筑波古道と交差するところまでたどり着いた。ここから進むと、神社入口のバス終点まで行ってV字状にまた神社まで登り返えさなければならない。もう登りを漕ぐのはウンザリなので、ここで浜風を降りて脇に抱え、古道の階段を上った。歩いて登れば数10mだが、自転車だと400mくらい漕ぐことになる。

ふらつく足を踏みしめて、古道の急階段を抜け、やっと神社前へ抜けた。

7時に家を出て、いまは12時を回っている。まあ、実走60キロ/4時間で、休憩とルート探しに停止時間1時間をみておいたので、ほぼ予想通りではあるのだがルートの厳しさは想定外。疲労は限界を越えていた。登りにかかってから、確認を要する分岐以外では止まっていないので、以後、途中の写真がない。漕ぐのに一心でその暇がなかった。

とにかく何か食べないと力がでないから、参道に並ぶ食堂をかねた土産物屋の一軒に入った。土曜の昼なのに、この店には客がいなかった。

土曜の昼の食堂表通り方向

カツ丼と泡を頼む。すぐに出てきた泡は、いつものビールと味が違う。一口、二口でクラっときた。空腹と疲労のダブル・パンチ。少しペースを落として、カツ丼の来るのを待って、なんとか飲み干す始末。この手の店へ入って味がどうこう言うつもりはない。店のオーナー夫妻はのんびりしていて、鵜の目鷹の目で客を引き込もうとする気配がない。

食堂の駐車場から 関東平野

食後少し体調も落ち着いたので、筑波山神社を覗いておくことにした。ご主人が、何処へ行っても止めると金を取られるから、自転車はここへ置いておけと勧めてくれた。店はガラガラだが駐車場は満杯。神社近くには土産物屋か旅館の駐車場しかない(少し離れると無料駐車場がある)。この店も食事や土産物より駐車代金で潤っているのかもしれない。

参道から随臣門屋根(手前は神橋の屋根)を望む

拝殿まで息を切らして足を引きずるように登る。20歳もいっきょに年とったかのようだ。

威風堂々の筑波山神社 拝殿 ちょうど結婚式の最中
随臣門 裏側から

帰りは、土浦へ出て霞ヶ浦沿いに戻ることにした。もとの道を戻るなんて absolutely impossible !!

筑波山神社から筑波山口(旧筑波鉄道駅、現バスターミナル)へ下って、サイクリング・ロードに入る。

旧筑波鉄道筑波山口駅

ほとんど高低差のない道を飛ばす。普通なら景色を楽しみながら快適なところだが、土浦まで約20キロの単調な道は漕げども漕げども果てしない。

旧筑波鉄道軌道さらば筑波山

以前、近所の史跡に因んで、神皇正統記と北畠親房を調べたことがあったが、その正統記が書かれた古城はこの自転車道の途中にある。運良く簡単に分かれば寄るつもりだったが、なんのことはない、その小田城趾を自転車道は貫通する。現在、史跡を復元している最中で、道路は城郭の南側を迂回するように付け替えられていた。

常陸小田駅跡遺跡を迂回する自転車道(東から)
土塁の一隅武人供養の石塔?
館敷地跡か どのあたりに親房の居室があったのだろう

前回の霞ヶ浦半周で土浦の土地勘はあるので、市街を通り抜けて、すんなり西浦中岸へ抜ける。霞ヶ浦(西浦)は形状からして、右岸、中岸、左岸に分けられている。

西浦中岸から土浦市街遠望

西浦中岸を霞ヶ浦大橋まで向かうときは、直前までその姿が見えない。目標もなくただ漕ぐばかり。途中に、アサザの群生する舟溜が1カ所だけあった。

舟溜内のアサザ
浜崎舟溜

アサザの解説を読むと、開花は午前中だけと書かれていることが多い。でも本当だろうか。この写真は午後4時近くだが全開で、そんな気配はまったくない。午後に咲いているアサザはここに限らず何度も見たことがある。だれかが偶然言い出しただけで、あとは調べもしないでコピペしてるのか。自分もいまで頭から信じていたが、どうやら「午前中だけ」は確認しなおす必要がありそうだ。

午後4時前、全開のアサザ
ミズアオイ土手と蓮畑の間だの側溝

途中、暗くなりそうなので、霞ヶ浦大橋を渡ってから、いつでも点灯できるようライトの用意をする。

霞ヶ浦大橋西詰めから遥かに筑波山 今回はもう振り返ることもあるまい

日も暮れてメロメロで家へたどり着いて、まずは汗を流す。山の縱走ならいくら荷が重くてもいとわないが、自転車であんな舗装道路のアップ・ダウンなどどこが面白い。お前の計画が杜撰だ…………などと独りごちながらシャワーを浴びた。

しかし、体の汚れをおとして、さっぱりしてみると、意外や気分爽快なこと。酷使したはずの脚の疲労は心地よく、体がいやに軽い。気分はハイ!! 浜風の長距離は何度かやっているが、こんな感覚は経験がない。さては、あの山岳道路のせい?また行きますか? いやいや、それはないでしょう。ははは。

本日は、これまで。

  
   
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