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| 水戸八景一巡 2015年10月26日自転車で出かけりゃ輪行だろうと思っていたのだが、違うんだな。自転車を交通機関で運ぶ行程と組み合わせたサイクリングでなければそう呼ばないそうだ。自転車をそのまま載せてくれる交通機関は多くない。文句を言われず交通機関を利用するには、自転車を分解し、コンパクトにまとめ、「輪行袋」に詰め、手荷物にする必要がある。 近隣の往復100キロ圏内はほぼ行き尽くして、そろそろ輪行にトライするかという思いが頭の片隅に芽生えてから何年か過ぎた。たまたま、サイクルベースあさひという自転車通販で手ごろな輪行袋の広告があったので、安さと口舌の巧さに乗せられて注文した。 輪行袋が解決したとなると、つぎは自分のスキルの問題になる。自転車を分解して袋に詰め、行き先で袋から出して組み立てるという作業が発生する。分解・組立は自宅では何度かやっている作業だが、出先でこれをテキパキできる自信はない。駅前で袋を広げ、もたもたしていたのでは、あの爺さんいい年して……と聞こえよがしに言われかねない。さっそく、手順の特訓に取りかかった。いちばんの難関は、スプロケットの付いている後輪の着脱だ。これもYouTubeなどを参考に数回繰り返せば、ポイントがつかめてくる。 届いた輪行袋はじつに粗末なものだった。生地はぺらぺらで固い物に擦れればすぐに穴が空き、結束や担ぐためのストラップはよれよれで少し引っ張れば緩んでしまう代物。袋自体は諦めて使うにしても、ストラップはどうにもならない。これは破棄して登山用のシュリンゲとテープに替えることにした。サイクルベースあさひも「スタッフが開発」なんて恥ずかしげもなくよく書くよな。予想外にてこずったのは分解した自転車の袋への入れ方だ。サイズに余裕がないので、むぞうさに入れるとどこかがはみ出してしまう。 本題に入ろう。 最初の輪行は、水戸藩最後の藩主斉昭の選定した水戸八景を大洗駅を起点にして一巡することにした。Googelでルートを設定してみると80キロをやや超える。八景を一巡する順番は、涸沼から時計回りに、次のとおり。(ひたちなか市HPより)
→水戸八景の概要(ひたちなか市HPより) →マップ 今日(2015/10/26)は快晴・静穏、絶好の浜風日和だ。自転車の収納は、練習してから日が経っていたので、いささかもたついたがなんとか輪行袋に詰めて自宅を出る。駅まで500m程度だが、15キロほどある自転車を肩紐一本で担ぐのはけっこうきつい。
大洗駅の駅前広場に出て、はじめて出先で浜風の組立を試みる。さいわい人通りはほとんどない。袋から自転車を出すのにもたついたが、組立はなんなくこなせた。 広浦秋月石碑は涸沼湖畔にあり大洗駅からは戻る方向になる。はじめは鹿島臨海鉄道の涸沼駅を起点にするつもりだったが、距離を調べると大洗駅のほうが近かった。涸沼周辺は何度も走っているので気楽だ。快晴・静穏で暑くもなし寒くもなし、これ以上望むべくもない浜風日和。 この石碑は広浦公園キャンプ場の一画にあった。
仙湖暮雪涸沼からは、ちょっとした丘陵地帯を越えて水戸の市街へ入る。車の多そうな道をなるべく避けてルートを設定したので、いさかかナビが繁雑で時間がかかった。千波湖の下流で桜川を渡り、千波湖の北側から跨橋を経て偕楽園へ至る。 問題は偕楽園のどこに石碑があるかだが、見当がつけてあったものは水戸八景のそれではなく、茨城百景の石碑だった。
結局、偕楽園東門の案内所まで行って場所を訊ねた。園内は自転車は乗れない。手で押して移動する。その位置は、さきほどの茨城百景のすぐ近くだったが、公園の柵があるので、やはり東門を通らないとたどり着けない。
石碑は偕楽園の千波湖に面した斜面の途中にあった。
青柳夜雨つぎの石碑は那珂川を渡った対岸の下手にある。偕楽園から千波湖畔まで降りて西の谷へ入る。西の谷の途中から浜風を担いで階段を上り京成百貨店方向へ抜けた。青柳夜雨を昼場とするつもりなので途中で泡を仕入れる。弁当は大洗でカツサンドを買ってあるが、泡はやっぱり冷えてなくちゃ。 水戸の町中を突っ切って水府橋で那珂川を渡ると、東詰め下手に大きな木が見える。遠望では畑のなかに生えているかに見えるが、そこへ至る道が整備されていた。
この木が、斉昭が詠んだ青柳なのかどうか知らない。しかし、そう思わせるに十分な風格を備えている。
誰もいないし、静だし、のんびりしたいところだが、あまり時間はない。ここから常陸太田までの長丁場は少し急がずばなるまい。 山寺晩鐘常陸太田までは水郡線に平行した国道・県道をとり、GPSとにらめっこで飛ばせるところはとばす。太田の市内に入れば西山荘や佐竹氏旧跡の訪問で土地勘がついている。 この石碑は矢吹運動公園の背後の丘陵の上にあった。階段の入口に、「スズメバチの巣があります」とあって、あまりいい気持ちはしない。
周囲は木立が生い茂り視界はまったく開けない。この石碑も薮をにらみ、壁に向かって座禅する禅僧の趣。背景に見えるのは県立西山研修所。さらにその背後の山に画僧雪村の碑がある。 太田落雁次の太田落雁は、山寺晩鐘から距離は近いが、源氏川を隔てて対面する鯨ヶ丘の反対(東)斜面に位置する。鯨ヶ丘の急坂は浜風を押して上がる。栄町郵便局を左手に見て、東に下る細い坂の先に石碑はあった。
大洗を起点にする今回のコースでは、ここが最遠地点になる。時刻は2時を回ったところ。残すはあと3カ所。油断はできないが、なんとか巡りおおせるかもしれないと思う。 村松晴嵐村松青嵐までは、田園地帯の地方道を縫っていくので、青柳夜雨から山寺晩鐘の道ほど味気なくはないだろう。しかし、あまりのんびりもできない。ゆっくり寄り道などしながら走れば楽しい道だったかもしれない。石神の城趾などちょっと食指をそそられたが、先を急いだ。 国道245号の脇に案内の石碑があった。ここは東海第二原発から2キロと離れていない。
国道から分け入った小道は、両側をフェンスと木立に囲まれて薄暗く、あまりよい気持ちはしない。どうも原子力施設の中を貫通している一般道らしい。しばらく走ると少し明るくなり松林に出る。村松虚空蔵尊堂の宝塔へ下る道を右手に見て、反対に分け入ると石碑があった。
石碑の場所は、この辺りでは有名な村松虚空蔵堂の真裏にあたる。いま来た小道は、すぐ東側にある大神宮(神社HPには光圀が伊勢神宮の分霊を奉遷したとある)の境内を通って、虚空蔵堂へ続いている。
裏から潜り込むのもなんなので、正面の仁王門から入りなおす。
村松虚空蔵堂は以前から訪ねてみたい寺だった。輪行の候補として、こことひたち臨海公園の沢田湧水を組み合わせたコースも頭にあった。たしかに大伽藍ではあるが、こちらの心に響いてくるものはあまりなかった。 水門帰帆もうだいぶ日も傾いてきた。水門帰帆の石碑のある那珂湊へは旧道を通るルートを設定してあったが、時短のため国道245を南下することにした。思ったより距離があったが、なんとか日の沈む前に、那珂湊を一望する高台にある水門帰帆の石碑にたどりついた。
岩舟夕照最後の岩舟夕照は、涸沼川・那珂川を隔てて那珂湊の対岸に位置する。日は沈んだとしても薄暮には間に合うだろう。 海門橋の南詰めの公園の案内図に岩舟夕照の碑があったので、その説明に従って浜風を担いで階段を下った。かんぽの宿大洗の下を走って行けるところまで行くと、長い上り階段が待ち受けていた。またも浜風を担ぎ、かんぽの宿の駐車場まで上がる。1日走り回ったあとでもあり、さすがにこの上りはきつかった。 駐車場から少し走ると案内板があって、その先に下りの歩道が延びていた。
この辺りは何度となく通っているので大洗駅までの道に不安はない。ライトの用意をして大洗駅へ向かった。 大洗駅に着いたころにはもう夜の帷は降りていた。自販機の灯りを頼りに浜風を分解して、輪行袋に収納する。ちょうど作業が終わるか終わらないかというとき、鹿島神宮行きの車両が2階のホームに入った(大洗から水戸まで全線高架)。改札の駅員に「もう神宮行きは着いてますよ」と促され、輪行袋を担いで階段を駆け上がった。この期に及んでバテるぜ。往時の水戸藩士はこれを徒歩でやりおおせたのだから、すごい。途中、渡河もあったろうし、トライアスロンなみだったね。 大洗でだいぶ客が降りたが、ディーゼルカー2両編成の車内はほどほど混雑していた。運転室の手摺りに輪行袋を固定して、一息つく。振り返ってみれば、昼食の頃には完遂できるか不安がよぎったが、のんびりモードからあくせくモードへシフトアップして、なんとか目標を達成できた。GPSの走行距離は85キロだった。 久々の長距離は、浜風のハンドル・ステムの調子を見ることがひとつの目的だった。いままで長距離で感じていた窮屈な感覚がなかったことはステムを長くした効果だろう。それに疲労度も思ったほどでなかったのは、ミツバチプロジェクトの活動で蜂場との往復が運動になっているためだろうし、ハンドルとサドルの高さの設定が上手くいったことを示している。いつも苦痛を覚える頸部は、起床時と就寝時の胸鎖乳突筋の強化運動が効いたか、だいぶ緩和された。 なによりも輪行が実践できたことが最大の成果だ。アラセブももう少し頑張らなくっちゃ、ははは。 本日はこれまで。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||