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八甲田山春スキー2016

アラセブともなると、春スキーどころか明日の成りゆきさえ楽観できないが、今年もなんとか八甲田山の春スキーを楽しむことができた。雪が少なくて気がもめたが、連休より1週前倒しにしたこともあって、滑るに大きな支障はなかった。

総括すると、天候にあまり恵まれず8泊したわりには滑り足りなかった。しかし、弘前の花見や十和田湖の散策などが不足を補って十分のものがあった。昔は珍しくなかったが、今年は酸ヶ湯に投宿した間に降雪が2日もあったのだ。

  • 23日 ロープウェイが強風で停止、スキー場で足慣らし
  • 24日 赤倉岳大斜面から箒場岱コース
  • 25日 満開の弘前公園で花見
  • 26日 八甲田大岳大斜面、硫黄岳南斜面の滑降
  • 27日 田茂萢岳南斜面、赤倉岳大斜面から硫黄岳コース
  • 28日 降雪で十和田湖・十和田市散策
  • 29日 降雪で停滞
  • 30日 八甲田温泉コース/蔦温泉散策

マップ

24日 赤倉岳大斜面から箒場岱コース

赤倉岳大斜面を滑る箒場岱コースは八甲田山を代表するツアースキーコースといってよかろう。まずここを滑っておけば八甲田山の春スキーを味わったことになる。

ロープウェイ終点から田茂萢、赤倉、大井戸沢のコルと縦走して、コルで板を付け赤倉大斜面の滑降開始点まで少し戻る。途中からショートカットで開始点へ出ることができるが、高山植物を保護するためこの経路は取らない。

赤倉大斜面を滑ったあとは雛岳山麓をトラバースしてブナ主体の林間コースを抜けて箒場岱へ出る。今日は日曜なので春スキーのシャトルバスがあり、箒場岱からロープウェイ山麓駅へ戻ることができる。

田茂萢岳から望む赤倉岳、井戸岳、八甲田大岳

田茂萢で板をつけてしばらく滑ったら、あとは板をザックに着けて赤倉岳を縦走する。

赤倉岳の大斜面 滑降開始点

快適!!!
この日は先行するパーティはなく(赤倉方面はわれわれ以外ほとんど人影がなかった)、ここ数日はまったくだれも滑っていない赤倉の大斜面。絶好の雪質に恵まれ、これぞ八甲田の春スキーという快適な滑りを楽しむことができた。
春スキーとしてはベストの雪質だね

赤倉の斜面を満喫してから適当な風下を見つけて昼食。天気がよければ雪上のプチ宴会はなんとも言えない春スキーの楽しみ。

雪上のプチ宴会

昼食後、飽きるほど長い林間コースを滑って終点箒場岱に出る。積雪はたしかに少なく、コースの後半は沢が多く出て、連休本番にはブッシュにも悩まされそうだ。

箒場岱元気なご主人の居る休憩所

箒場からシャトルバスでロープウェイ山麓駅へ戻ったが、酸ヶ湯の送迎バスまで時間があったのでロープウェイ脇のスキー場で時間つぶしをした。

昨日、ロープウェイが強風で止まっていたので足慣らしにゲレンデを滑った。その回数券がまだ残っていたので消化する。

ロープウェイ脇のスキー場にてゲレンデは滑りにくい

25日 満開の弘前公園で花見

今日は快晴。いつもなら悪天で滑れないときにしか行ったことのない弘前城趾へ行ってみることになった。桜が見頃なはずだ。

この判断は正解で、まさに匂うがごとき弘前の春を満喫できた。弘前の桜は何度見たことか知れないが、なかでも最高のタイミングであった。

弘前駅の中央口を出て右手の大通りをまっすぐ進むと弘前公園(城趾)にぶつかる。

弘前駅弘前城趾
弘前城趾の桜満開
天守閣は石垣修理のため移動していた
陸奥の富士 岩木山

弘前城趾にも行きつけの屋台がある。蓮池のほとり、本丸を見上げる位置にある「とらや」だ。とくに理由はない。寅さんと関係があるか訊いたこともない。弘前城趾を散策するときはここに立ち寄り、軽く一杯がならいとなっている。

ここから青森の「鮨処はせ川」へ予約を入れる。

行きつけの屋台部位不明の焼き鳥

弘前で観桜のしめは青森の鮨処はせ川。

長谷川君ご酩酊?

26日 八甲田大岳大斜面、硫黄岳南斜面

今日のコースは、ロープウェイ山頂駅から田茂萢、赤倉、大井戸沢のコルと縦走して、大井戸沢の東面をトラバースして井戸と大岳のコルへ抜ける。そこから大岳を登り詰めて、大岳大斜面を滑降する。

酸ヶ湯の送迎バスに乗ったのはわれわれ3人だけ。9時始発のロープウェイ駅も閑散としている。

閑散とした待合室 平日はロープウェーの臨時便もない

前半は箒場岱コースと同じ縦走路を歩き大井戸のコルへ

大井戸沢のコル 高田大岳と小岳

大井戸沢のコルから大井戸沢を少し滑って、あとはハイマツに沿って井戸岳の東面をトラバースする。

八甲田大岳の登高
 同じ方向を目指すガイドツアーに遭遇

ガイドツアーとぶつかっては面倒なので先行して大岳大斜面を滑降した。今日は、雨の流水でできた雪面の凹凸が硬く快適な滑りとはならなかっった。

背後は滑り降りた大岳大斜面 仙人岱ヒュッテを目指す
仙人岱ヒュッテ(写真は27日)

仙人岱ヒュッテは青森県の建てた避難小屋だ。地元のボランティアによって整然と管理され、ここちのよい休み場所となっている。われわれもよくやっかいになる小屋だ。

靴を脱いでプチ宴会酸ヶ湯のガイドツアーもやってきた

はじめはわれわれだけだったが、やがて酸ヶ湯のツアーもやってきて賑やかになった。

古いなじみの酸ヶ湯のガイドS氏が「隊長」で、コースの情報を訊くことができた。それによると、われわれが予定していた小岳大斜面はクレバスが多く出て滑りにくく、下部はすでにブッシュがうるさくなっているという。

そこで予定を変更し、硫黄岳を登って南斜面を滑降し、西面を回り込んで地獄沢へ出ることにした。地獄沢から大岳循環コースに合流すれば、たらたら滑って酸ヶ湯へ戻ることができる。

硫黄岳の登高硫黄岳の稜線
硫黄岳より 小岳、高田大岳
硫黄岳 滑降開始点 南八甲田の猿倉岳から櫛岳へ続く山並が見える

硫黄の滑降は適当なところで切り上げて、西面のトラバースに移る。なるべく高度を下げないようにして、地獄沢に出る手前で硫黄岳コースに合流するのがポイント。

地獄沢を越えて大岳循環コースに合流したところで休憩。  

まだ日は高いのんびり休憩

はい、無事に酸ヶ湯に帰着。

 お疲れ

27日 田茂萢岳南斜面、赤倉岳大斜面から硫黄岳コース

24日の赤倉の大斜面の滑りが気持ち良かったので再挑戦する。ただし、今日は平日でシャトルバスはないから箒場へは降りられない。赤倉岳大斜面を滑ったあとは成りゆきにして、田茂萢岳の南斜面を滑り、そこから赤倉岳の南西面をトラバースして大井戸沢のコルへ抜けるルートを取ることにした。このルートはシールを使う人が多くなってからよく使われるようになった。

101人乗りのロープウェイ

このコースはロープウェイ山頂駅のすぐ前から滑り出す。もうオオシラビソが頭をもたげていたので、いったん雪の多いところまで滑り降り、そこから登り返すことにした。

頂上駅から少し滑った地点 ここからちょっと登る
田茂萢岳南面の滑降開始点
この先の斜面を滑り降りて、あそこまで登って休憩

田茂萢の南斜面は下部が急傾斜になる。谷底まで降りると登りがきつくなるので、少し手前で左手へトラバースしたほうが楽だ。

はい休憩地点まできました
 

赤倉岳からの枝尾根で休憩し、次は大井戸沢のコルを目指す。

大井戸沢のコルは目前
大井戸沢のコルから振り返る

赤倉の大斜面は今日も快適だったが、斜面途中で急にガスが湧き起こり視界がなくなった。大斜面をぞんぶんに滑り降りてから、仙人岱ヒュッテへ登り返す予定だったが、これ以上の滑りは諦めて直接、小屋を目指すことにした。

午後は、26日と同じコースではつまらないので、硫黄岳コースを滑る。あちこちでオオシラビソが行く手を塞ぎ、快適な滑降とは行かなかった。

地獄沢から先は26日と同じコースになる。

地獄沢を越えて、また大休止
ただいま 酸ヶ湯玄関

28日 十和田湖・十和田市散策

朝から雪がちらついている。われわれの行動基準ではとても滑る天気ではない。十和田湖へ行ってみることにした。

十和田神社
愛嬌のある狛犬
あの有名な…………

十和田市現代美術館を訪ねる。

屋外のアリの化け物を撮ったら撮影禁止と制止されたが
これもあれも……………………現代芸術作品である
29日 酸ヶ湯にて

昔は連休でも降雪はよくあったがちかごろ珍しい。従業員に訊いても、この時期2日つづけて雪は経験がないという。山仲間の車はノーマルタイヤで来ている。昨日は雨交じりだったが今日は路面に積雪がある。

今日は酸ヶ湯の湯治客に徹する。

酸ヶ湯玄関玄関前の駐車場
207号室からの雪景色

たっぷり時間のあるときの定番メニュー、とろろ掛けご飯。おろした山芋にゴボウ風味の出汁を合わせ、すり鉢で徹底的に摺る。いわば、ホイップする。それをご飯にかけてするすると食べるというか飲み込むというか。秋田出身の紅一点のメンバーが得意とする家庭料理だ。

スルスルといくらでも入りそう

日がな一日、温泉三昧。

男子脱衣所
湯治棟への廊下207号前の廊下

30日 八甲田温泉コース/蔦温泉散策

今日も朝からガス。滑り足りない組は八甲田温泉コースへ、もう十分組は蔦温泉の散策に分かれた。

八甲田温泉コース

上部はずーっとガスっていたらしい。この時期の新雪は真冬と違って、滑りやすいものではない。そうとう、苦労したようだ。

だんだん天気回復
八甲田温泉で昼食 泉源が枯渇して休業中とか

蔦温泉散策

睡蓮沼から猿倉岳、乗鞍岳、赤倉岳(南八甲田)を経て蔦温泉まで下るツアールートは何度も滑ったことがあるが、ついぞ温泉には入ったことがなかった。いつかは蔦温泉に入ってみたいと思っていたが、ついに念願が叶う。

蔦温泉へ JRのバスから
池の向かいが玄関 右手が風呂の施設
風呂の施設 右の新しい建物が休憩室

いつも賑やかな酸ヶ湯と違って、蔦温泉は全館がひっそりと静まりかえっている。

玄関を入っても普通の旅館のフロントとは雰囲気が違い、古い商家の帳場のような受付があるだけだ。そこで、物腰のおだやかな若い従業員に入浴料800円を払い、浴場へ向かう。泉響の湯と久安の湯という、大小2つの浴場があるようだが、ぼくは大きいほうの泉響の湯で長々と湯に浸かり、すっかり満足した。

泉響の湯は、広い浴槽の底板のあいだから無色透明の湯が滾々と湧きだしていて、あふれた湯は一段低い湯船の枠を越え、広い小川のように流れ出ている。

浴室内も森閑として、だれも喋ることがない。あるものはどっぷりと湯に浸って瞑目し、あるものは静に湯を浴びて立ち去る。広い室内にときたま湯を被る音と桶を置く音だけが響く。まるで禅寺で参禅しているかのようだ。

だいたい風呂は苦手で、湯船に3分もいると我慢ができないほうだが、ここではわれながらあきれるほど長い時間を浴室の中で過ごした。

浴場入口浴槽 天井が高い

入浴後は広大な休憩室で外の景色を楽しみながらほてった体をさます。

入浴後の休憩室
大町桂月などの記念物の展示コーナー

ちょうど昼時だったので玄関を挟んで浴場と反対側にある食堂で昼食を摂った。このころになると天気は爽やかな五月晴れに変わっていた。

食堂より

長湯をしてのんびり休憩し、昼飯を食べ終わっても、酸ヶ湯へ戻るJRのバスにはまだ1時間少々まがあった。時間つぶしに蔦温泉の周囲に点在する沼を巡る散策路を歩いてみる。

沼巡りの散策路へ周回には1時間半ほどかかる

最長コースは1時間半ほどかかるが、それを早足で一巡することにした。

酸ヶ湯を起点にしてツアースキーで蔦まで滑るときは、JRバスで睡蓮沼まで来て、そこから猿倉岳、乗鞍岳を経て、南八甲田の赤倉岳の稜線(写真)に沿って長沼の辺りまで滑り降りる。木立のあいだから沼が見えてくると無事たどり着いたとホッとしたものだ。最近は雪が少ないので蔦温泉へのツアーができるのは4月初旬くらいまでだという。

 
 蔦沼から赤倉岳(南八甲田)を望む
ミズバショウの群落トチの古木
エンレイソウアズマイチゲ

時間が限られているのであまりのんびりできなかったが、スキー靴でしか歩いたことのない散策路をウオーキングシューズで一巡りすることができた。

帰途 睡蓮沼
最終日 酸ヶ湯玄関前にて 全員集合
  
   
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