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大げさに構えたが、味噌とベーコンは自作に限ると、何度となく繰り返してきた。ただ、味噌に比べると燻製というのははるかに工夫の余地が大きい。それだけに、いまだ作り方に、これだ!という自信はなかった。

今回は、ハムが好きでハム屋になったという、サンライズファームの高木さんが書いた「ハムの作りの工程」のページを読んでうなづくところがあって、これまでのやり方を変えてみた。ハムとベーコンの作り方は大半共通する。

(1)肉のサイズ
 1キロ単位だったものを500g単位にした。扱いやすいこと、塩も煙も浸透しやすいだろうということが利点。逆に、肉のうま味が浸みだしてしまわないかというのが不安。

(2)塩漬けの濃度と時間、それと塩抜き
ふつうは肉重量の5〜10%の塩を、バーブ類の香りを侵出させたピックル水で溶き、それに肉を1週間漬ける。これを今回は3%の塩で2週間漬けた。最後にタニタの電子塩分計(健保のおまけでもらった)で漬け汁を計ったら、6段階あるなかの一番「薄味](0.4〜0.5%)と出た。これは普通の味噌汁にして、ひとによっては薄すぎると感じる塩加減だ。相手が肉だから、これは少しうす過ぎたかと、これまた不安になった。だから、何時間もの塩抜きはやめて、ざっと水で流して漬け汁を落とすだけにした。

(3)燻煙時間
ふつうは4時間ほどかけて燻煙する。高木さんのページには、なんと「1時間くらいの燻煙が好み」とある。それと、日本獣医畜産大学の専門家が書いた「肉の常識」には、50℃〜80℃の燻煙では、急激に乾燥し,燻煙が付着するがそれ以降はあまり効果がないと書いてある。

つまり、この温度で4時間も燻煙するのは、肉の固くなった表面だけに煙をぬたくっているにひとしい。肉のなかには浸透していなかったのだ。そこで、今回は、燻煙を60℃で2時間程度とした。さすがに1時間は少なすぎるのではと。 

(4)加温時間
これはいままでにない工程で、燻煙をかけ終わってから、肉内の温度が70℃になるまで加温して仕上げるというものだ。これにも、ハタと膝を打った。ただ、肉内温度が70℃は高すぎると思うし、「肉の常識」にもハム・ソーセージで、内部温度が63℃で30分とある。しかし、ぼくの経験では60℃を過ぎると肉がぱさつく。60℃近くまでいけば十分だろうと思う。 以上のような考察?のもとに、今回のベーコンを作成した。 

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2週間塩漬けした肉を一晩、風干フックを刺す

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燻製ボックスに吊して奥 ボックス内温度
手前 肉の内部温度

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途中、ちょっとチーズも燻したりして6時間後に完成

燻製箱のなかで自然に温度を下げて、取り出す。これまでは、一日中煙とつきあっていると、完成したころにはへきえきして、食欲など湧く情況ではなかったが、今回は違う。時間が、4時ころだったせいもあるが、最後の保存処理をするために台所に置いておくと、その香りで空腹感を誘われた。はじめての経験。

翌日、つまり今日、昼はスパゲッティ、夜はベーコン・エッグで食べてみた。

いいんじゃないでしょうか!!!

燻煙香はもう少しあってもいいが、火の通り加減といい塩味といい、これまでで、一番満足のいくベーコンができた。修正の余地は多々あるにしても、塩、燻し、加温に大方針が定まった。微調整は、これからの楽しみである。

●要約
材料 豚バラ肉6キロ(おまけ、チーズ大4本)、塩3%、ピクリング・スパイス1ビンなど
   桜チップ160g、ザラメ少々

工程 塩漬け2週間、塩抜きなし(洗浄のみ)
   風干1晩
   温干60℃;1時間、燻煙60℃;2時間15分、加熱80℃;2時間45分(肉の最終内部温度57℃)、
   最後の30分でザラメ燻し

装置 燻煙箱(クロネコ大段ボール) W50、D48、H98 加温用ヒーター600w+300w/サーモスタット
   発煙箱(中段ボール) W37、D32、H43 発煙用ヒーター250w
   送煙ダクト(アルミ蛇腹) 径8cm、1m長

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