道草Web

大分前、ジュラシックパークの最初のバージョンが公開される前だったが、CHから電話があって、“一番大きい恐竜はなんていうの”と訊かれたことがある。 たしか、仕事がらみの質問だった。そのときは、“サイズモサウルス(いまのセイスモサウルスをそう発音していた)といって、歩くと地震が起きるくらい大きいという学名のついたのが現在発掘中で、それが最大といわれている”と答えた。

そのセイモ君が、発掘を終えて今度の幕張の恐竜博の目玉になっている。夏休みもそろそおろ終わりに近づいて、混雑もピークは過ぎた頃だろうと、平日に出かけた。ところがどっこい、親御さんに連れられたチビッコたちで、そんな魂胆は、ふっとぶほどの込みようだった。

会場がいくら混んでいても、全長35m、推定体重42トンの巨大なセイモ君の骨格を見上げるのに、何の支障もない(絵の展覧会とは違うからね)。最終的に発掘できた骨格は、全体の30パーセント程度で、残りは近縁のディプロドクスやバロサウルスから類推である。なんだウソみたいと思われるかもしれないが、恐竜の再現骨格や想像図などは、みんなその程度のものだ。子供の頃に憶えたトリケラトプスやステゴザウルスのように、間違えようのない特徴のある恐竜でさえ、最近の研究で細部が大分変わってきている。

それにしても、この巨大な生物やその仲間が、現実にこの地球上を(多分)群れをなして跋扈していたのだ。人間の想像力なんて、ちいせー、ちいせー。

とにかく最近の恐竜ブームは、学会巻き込んですさまじい勢いだ。そうでもなければ、こんな大規模な展覧会はできないだろう。現在、国内の主立った植物が6000種といわれているが、それでさえ憶えきれないのに、敵は何億年も かけて進化してきた系統だ。発掘が進めば進むほど、種類は増えて数千どころではなくなるはずだ。やれやれ、どれほど憶えると、おおよそ恐竜が分かっていると言えるのか、気の遠くなるような話になってきた。

それにしても、柔軟な頭脳で、この知識を吸収できる、いまの子供達がうらやましい。記憶力の衰えたオジサンは、あと何回か行かないと、全貌を掴みきれないかもしれない。


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