道草Web

何を隠そう、わたしは相当な恐竜フリークである。ジュラシックパークはすべてみているし、そこに出演する恐竜もおおむね名指しできることを、ここに告白する。

この25日の土曜日に、渋谷の電力館で『恐竜最新事情』と題して、国立科学博物館の冨田幸光氏の講演があった。この御仁、“冨”がトミーに通じるせいか、学者ではあるが、なかなか闊達で愉快な人柄らしい。さらに付け加えると、冨田氏は、数日前の朝日新聞にでかでかとでていた、セイスモサウルスの骨格模型の制作を監修した学者である。

冨田幸光インタビュー

http://www.kahaku.go.jp/news/apato/apatosaurus/interview/mes_tomida.html

これは聴かずばやである。早速、インターネットで申し込み、代金500円なりを払って拝聴した。当日、会場に着いて驚いたことに、参加者は青少年が大半と思いきや、その逆で、OJなど若い部類に属する。最後尾に陣取ったのだが、おおかたの後ろ姿は、“白頭掻けばさらに短く、すべて簪にたえざらん欲す”有様。人生黄昏の様相を呈している。そして、さらに驚くことに、知的興味に関しては、絶滅種かと思われる中高年のオバサンまで参加しているのだ。物見遊山気分で出かけた当方としては、居住まいを正さざるを得ない雰囲気である。もっとも、講演が始まるやいなや、隣のオジサンは大いびきで、気持ちよさそうに居眠りをしてましたが。

恐竜に興味のある方、ない方、いろいろだろうから、詳しい説明はしない。あまり恐竜に興味のないひとでも多少は面白いかもしれない話題を2つ紹介しておく。

ひとつは、世界中に分布している鳥類が、小型の肉食恐竜の子孫であることは、現在ほどんど定説となったということ。数年前に、鶏と卵ではないが、恐竜から鳥が分かれたか、あるいは鳥から恐竜が派生したかなど、議論かまびすしかったが、どうやら結論が出たようだ。これには、分岐分類学という冨田氏の専門の分野の成果が貢献している。

それと、多少関係するが、恐竜温血動物説。恐竜といえば爬虫類だから、これまでは冷血動物が定説だった。冷血動物は、体を温めるために“トカゲ”を決め込む必要がある。すべての恐竜とは言えないまでも、少なくとも小型の恐竜に、温血のものがいたことは間違いないというのが最近の結論だ。なぜか?それは、羽の痕跡を持った恐竜の化石がぞくぞくと見つかっているからだ。羽は、体温を逃がさぬための仕組みだが、逆に、外からの温度を遮ることにもなる。つまり、冷血動物に羽があっては、体温を上げる妨げとなる。だから、羽のある恐竜は温血に違いない、というのだ。

わたしの最初の恐竜体験は、小学校の頃に読んだ中西悟道の本だった。書名は忘れたが、ブロントザウルス(現在では、同種の化石にすでに別名が付けられていたのでアパトサウルスと呼ぶ)やトリケラトプスなどの名前は、そのとき脳みそに焼き付いたのである。日本野鳥の会の創始者とされる中西悟道といえども、その時代、鳥類が恐竜の子孫であるとは、知るよしもなかったろう。


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