道草Web

今朝のNHKの『地球大好き』というドキュメントもので、早池峰の屎尿問題を取り上げていた。われわれがいったとき、前後して屎尿汲み下ろしのボランティアが登っていたが、あのグループのリーダーが番組に登場した。「早池峰にゴミはにあわない実行委員会」の菅沼賢治というひとだ。

ぼくの早池峰の記録では、なぜ手間のかかる人海戦術を採っているのか疑問を感じたことを書いたが、その疑問に対する答えが、あの番組にあった。ゴミやトイレによる早池峰の自然破壊に心を痛めたひとびとによって、行政やボランティアなどが集まって対策会議があったらしい。行政側は、北アで実績のあるバイオ処理可能なトイレの設置を提案し、ほぼ全員が賛成したという。しかし、そのなかでただひと菅沼氏が異論を唱えたのだ。彼の意見を要約すると、左様なトイレを導入すれば自然は守れるだろうが、それでは登山者の自然に対する意識はいっこうに変わらない。むしろ人手をかけて、自分たちの排泄したものを自分たちで下ろすことで、自らの行為がどれだけ自然に影響を与えているかを忘れないようにしよう、ということらしい。以来、十数年にわたってボランティアを募集して、あのポリボトルの登山隊が毎月1回出動しているとうことだ。

彼自身の意見を表明したページがある。
    http://www.jwaf.jp/magazine/backnumber/2003/0310-1.html

こうした事情を知っても、屎尿持ち帰りに対するぼくの考え、というか感情が変わるわけではないが、また自分の中で未解決のまま取り残される問題がひとつできてしまった。まるでスケールが違うじゃないかと笑われそうだが、自分にとっては、なんだか山の屎尿問題は、原子力利用の問題と似ている。


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