道草Web

国立西洋美術館 『マチス展』 Process / Variation

「テーマとバリエーション(Process / Variation)」というタイトルでマチス展があった。マチスになんの思い入れもなく見たが、予期しない感動 を覚えた。とくに炭によるデッサンがすごい。そう思って、ほかの油絵を見返してみると、どれも太い輪郭線が浮き立って見える。なかでも「眠るニンフとファウヌス」には、強く惹かれた。何度か書き直していて、その跡を完全に消さずに残している。あの最後に残った線はあれ以外どうしようもない存在感がある。何かわからないが、見ているとふつふつと熱いものがこみ上げてくる。ほかの絵でも、書きかけて 、やめてしまったような個所が散見される。結果としての絵よりも、その過程を残しておきたい願望が画家にあったのだろうか。それが、原タイトルのProcessに表されているのだろう。


現在の閲覧者数:
inserted by FC2 system