道草Web

毎年桜の開花は楽しみだが、その近辺に住まいするものにとっては、それだけでは済まない。

桜には、三つの落とし物がある。花弁と紅葉、それに花柄の落下だ。満開や紅葉には興趣があっても、花柄は気づかないかもしれない。満開を過ぎて花弁もあらかた散った頃、なお桜の木が紅く見えるのは、あれは花柄の色だ。花柄は花より濃い紅色である。

ソメイヨシノは、ほとんどが着果せずに終わるので、花に続いて花柄の落下が始まる 。よくソメイヨシノは人工的に作られた種なので実はならないというが、そんなことはない。確かに美味しいサクランボにはならないし、花の数にすればほんのわずかだが、貧弱な実がなる。

あっというまに満開が過ぎて、静心なく花弁が散りだし、その掃除 に追われる。散って地面を覆った花弁もなお婉然として美しいが、放置すると色あせて地べたに茶色くこびりつく。その掃除が数日つづき、やっと終わ ったかとおもうと、つぎに花柄の落下がはじまる。葉や花弁と違って、比重が大きいので風に飛ばされにくい。その分、たっぷり量があるわけだ。

丁度今が、その頃である。


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