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仕事がひまなので、国博の雪舟展へ出かけた。平日の午前中だとい うのに、相当な混みよう。長巻ものの前には、二重三重の人垣ができて 動きがとれない。あまりの混雑に、途中で諦めようかと思ったが、絵が そうはさせてくれなかった。

秋冬山水図四季花鳥図屏風

山水画にそれほど興味はなかったが、流石 に雪舟の絵には、ぐいぐい引き込まれるような魅力がある。意外だった のは、山水画より花鳥画が面白かったこと。確かに、国宝になっている 「秋冬山水図」(垂直に伸びる崖線の雄弁なこと)、絶筆「山水図」 (八十数歳とは思えない構成力の強さ)など文句なしの逸品もあるが、 「四季花鳥図屏風」の鳥たちの描写、とくに飛翔する雁の様式的な完成 度の高さは視線を釘付けにする力があった。それと肖像画がよい。

「益田兼堯像」は、とても有名な「慧可断臂図」(これは漫画か?)と同じ 筆とは思えない。最小限の繊細で的確な線で人物をみごとに描き出して いる。折れ釘のような太い輪郭が雪舟と思っていたが、この画家の技量 の幅を知った思いだった。

写真
慧可断臂図

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