道草Web

理由はわからないがツル性の植物が好きだ。垣根には、テイカカヅラ、ナツヅタ、フユヅタ、アケビ、フジなどが植わっている。園芸店で買ったものはひとつもない、フジはもらった鉢植えを下ろしたものだし、のこりはすべて散歩の途中で、ひとさまの垣根から一枝失敬したり、見沼の斜面に自生していたものを挿し木したものだ。

おしなべてツル性の植物は生命力が強い。樹木は樹冠の覆うと同じ範囲まで根も伸びるらしいが、それをツルにあてはめると、ツルの伸びる範囲まで根も伸びてゆく。そして、伸びた根は、そこここの分節から芽を出し、新しいツルを地上に延ばして繁茂してゆく。なかでもフジはもっとも強壮だ。少し油断すると猫の額ならぬネズミの額の我が家の庭を覆い尽くしてしまう。

話はそれるが、屋久島ではヤマグルマがツル性になって屋久杉に巻き付き、熱帯地方のイチジク科の植物のように、巻き付いた相手を枯死させていた。その時点ではツルは強固となり自立できる。空洞となったツルの螺旋を見たときの映像が鮮明な記憶として残っている。

この季節では、アケビのツルが旺盛である。放置すると、垣根やアケビ棚のあちこちから、同じツル同士が互いに絡み合って立ちあがってくる。そのままにすると木質化して 、ヤマグルマほどでないにしても処置が面倒になる。性もとよりこまめとはいえないので、気になりながら放置してあったのだが、今日はついに決心して刈り込んだ。垣根のやつは手で摘み、アケビ棚のやつは脚立を立てた。たいした面積でもないが、刈り終わってみると、両手でつかむほどのアケビの若いツルがあった。触った感触はいかにも柔らかく、手でポッキリと折れる。そこで、ひらめいたのが、アケビのおひたしだ。別に珍しくもない山菜だが、家の庭のやつだって食べられないことはないだろう。

ということで、今晩の夕飯の一品は、アケビのおひたしとなった。


 
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