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国博『唐招提寺展  国宝 鑑真和上像と盧舎那仏』

唐招提寺の講堂の盧舎那仏、四天王などを、そのままの配置で展示する。平成大改修中ならばこその展示だ。また、鑑真和上像を中心に、東山魁偉の襖絵を御影堂の配置を再現して展示する。和上像は何度か見ているが、修復されたのか、手入れがされたのか、よそよそしくてピンとこなかった。魁偉を見たい客もいるのだろうが、ぼくにはいまひとつこの画家のよさが理解できない。唐招提寺には思い出も多く、好きな寺だし、現在は、奈良まで出かけていっても修復中だから 見ようがない。だから見に行ったようなものだが、ひとが多い割には中身のない展示だった。

『踊るサチュロス』特別展

 同じ敷地内の表慶館で、この展示があった。これは愛知万博への出品に先立つ特別展だという。この像についてはNHKの日美で紹介していたが、今日、国博へくるまで、展示していることを知らなかった。神話のサチュロスは、どちらかといえば卑猥な印象のつきまとう 精霊だが、この像の造形は驚異的である。若々しく躍動し、完璧に美しい。おもわぬ拾い物。

『ハウルの動く城』

 国博を出てまだ2時を回ったばかりだったので、まだ見ていないハウルを上野でやっていないか探したら、西郷像の下の地下の映画館で、丁度の2時20分開始の回がいまはじまったばかりだったので飛び込む。昔の田舎町にどこでもあったような小さな小屋で、座席の配列も古くさく、前のひとの頭で予告編の字幕が見えない。ハウルは関係ないが。

不幸な少女と王子様という典型のバリエーションで、宝塚調の甘さが最初は気になったが、結局は 映像の面白さに引き込まれた。宮崎駿夫の作品をいくつも見てくると、見覚えのある形が多く出てきて、同じ嗜好や発想が根底にあることを感じさせる。それにしても、次々と繰り出してくるあのイメージの豊饒さはどこからくるのだろうか。才能といってしまえばそれまでだが。 しかし、このアニメ、千と千尋やナウシカのレベルにはほど遠い。あのお城の造形だけが突出している。


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