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GTさんに触発されて、トンネルの形状について、調べてみました。

結論から言うと、やはり安定性が高いので馬蹄形ということらしいです。 ただ、それだけではありませんでした。意外に奥が深かったので報告します。

昔から石積の建築でよく見られるボールト(要するにカマボコ形)と呼ばれる構造があります。これは天井を支える圧力をアーチの部分で壁へ逃がして、壁の上下方向の強さで支える仕組みです。断面は逆U字形になります。 建築のように上からほとんどの圧がかかるだけなら、トンネルも逆U字形で済むわけです。ところが、トンネルのように、地中に穴を掘ると周囲の泥や岩盤のすべての方向から地圧がかかります。 上からに加えて横からの力にも耐えるようにするには、横方向へもふくらみ、つまりアーチにするということで、断面は馬蹄形になります。

ところで、その先の話があります。目には見えない、トンネルの底のことです。あのときの話で、ZNさん
は、トンネルの底がどうなっているかという疑問も出しました。これは、なかなか鋭い観察でした。 鉄道のことは別にして、地圧のことだけを考えれば、上に積もった泥や岩石の圧力は横の壁を通じて、トンネルの底へもかかります。これをトンネル側から見ると、トンネルは底の方向からも力を受けることになります。となれば、トンネルは底の部分もアーチである必要があります。実はこれが正解です。

土圧がすべて均等なら、周知のように円形が一番安定しますが、普通の地形では、上下の土圧のほうが横からの土圧より大きくなります。とすれば、縦長の楕円にするのが一番合理的です。しかし、鉄道 を通すことが目的ですから、地下の余分なところまで掘削するのは無駄です。

そこで、縦長の楕円の底の部分を水平に切断し、軌道を敷設するに必要な横幅を確保して、切り取った部分を逆のアーチ(下向きの弧)でふさぐ構造になっている、というのが正解でした。 実際のトンネルの設計図があります。

ただ、図中のキャプションにもあるように、これは地盤が悪いところでのトンネルの形状で、岩盤が安定していて強固な底面が確保できる場合は、底のアーチまでは不要でしょうね。


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