ベーコンの作り方 2008年03月06日
素材について |
燻製炉について |
作業手順について |
ケーススタディ |
→ベーコンを作る(以前の記録)
素材について
ベーコンは普通、ブタのバラ肉を使う。しかし、バラ肉は脂と肉のバランスが難しい。普通のバラ肉を燻製にすると肉の層の水分がとんで薄くなり、脂の層ばかりが残る。肉が多めで脂が少なめのバラというのはなかなか入手できない。たっぷりと肉を残したい場合、ショルダーロースを使うと肉と脂のバランスがよい。
熟成する前の鮮度のよい肉を入手するようにと書いてあるサイトもあるが、普通の肉屋では無理。熟成などの処理は卸以前にすませてあるようだ。
燻製炉の容量によるが、肉と魚を同時に燻製にすることができる。肉の燻製は6時間、魚の燻製は3時間が目安だから、肉の温干開始の1時間後に魚を入れ、燻蒸開始から1〜2時間で魚を取り出せばいい。
燻製炉について
スモーカーと称して市販のものがいろいろある。また自作で簡便に段ボールですます方法、大きめの鍋に蓋をする方法、石油缶を使う方法などもあるようだ。ぼくの場合は、猫の額ならぬネズミの額のような庭の片隅に、ブロックとコンクリート板で炉を組んだ。
→「我が家の燻製炉」
→「なぜ燻製炉を作るか」
作業手順について
燻製には、いくつかの準備作業が発生する。時間のかかる順に列挙すると次のようになる。
(1)塩漬け(1週間)
(2)塩抜き(前日 6時間)
(3)風干(前日〜 1晩)
(4)温干(当日 肉2時間、魚1時間)
(5)燻製(当日 肉4時間、魚1〜2時間)
ケーススタディ
ある事例について。
塩漬け
ピクリングスパイスと月桂樹の葉 | 少量の水で沸騰直前まで煮てからさます |
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タマネギ800グラム(肉重量の10%) | タマネギをスライスル |
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ショルダーロース 2ブロック、4キロ | 500グラム程度の小ブロックに分ける |
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肉重量の3%の塩をまぶす | タマネギのスライスと肉をまぶす |
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ピクリングスパイスと月桂樹を回しかける | 厚手のビニール袋に密閉 |
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これで1週間、冷蔵庫で保存する。冷蔵庫がタマネギ臭くなるのはやむをえない。
塩抜き
冷蔵庫で1週間寝かせてから6時間ほど塩抜きをする。
タップリの水で6時間程度塩抜きする 2〜3回水を交換する | 水を切る |
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水をしっかり拭き取る | 参考:別の機会に作ったバラ肉とロースの例 |
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風干
1晩、表面を乾燥させる。
麹箱に並べて扇風機で弱風をあてる | ついでに市販の甘塩のサバとサケも風干する こちらは油を塗った網の上で干す 自分で魚をさばいて塩漬けを作ればより美味い |
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予熱
燻製炉を30分ほど予熱する。
コールマンのストーブで予熱する 電熱器、容器なども温めておく 小が200ワット、大が600ワットの電熱器 手前右のステン容器にチップを入れる | フロントパネルをはめる 通風口は開ける 過度の高温にならないように爆発注意!! |
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温干
いよいよ燻製炉内の作業になる。
燻製炉内にセット | フロントパネルをはめて サーモスタットを60℃にセット |
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温干の終わる1時間前に魚をセットする。
金網にアルミフォイルを被せる | アルミフォイルの金網で肉と魚を分ける 肉汁が魚にかからないようにする 最下段にはオーブントレイをセット 魚汁が落ちないようにする |
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燻蒸
いよいよ燻製にかかる。
チップの例 手前はスモークウッド | 左側600ワット電熱器とチップ皿は 急速に燻蒸する 右側200ワット電熱器とチップ容器は 緩やかに燻蒸する |
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チップをステンの容器にいれて小さい方の200ワットの電熱器に置き、フロントパネルをはめる。タイミングを見計らって炭になったチップを捨てて、新しいチップを補給する。どの程度で炭になるか、最初はこまめに様子を見て、おおよその時間を把握する。
燻煙がすきまから漏れている | ときどき様子をみて 燻煙が均一にかかるよう位置を変えたりする |
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魚の燻製の完成 |
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肉の仕上げにザラメを燻す |
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ショルダーベーコンの完成 | 参考:別の機会に作ったバラのベーコン |
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こうして実際にベーコンを作ってみると、肉がいかに収縮するかがわかる。しかし、市販のベーコンは肉と脂の比率があまり変化していない。ということは、なんらかの化学処理によって肉の収縮を防いでいるのだろう。市販のベーコンを焼くとフライパンに奇妙な焦げ付きが残るのはそうした成分が抽出するためではないか。